

2018/12/12
フォト刺繍(フォトステッチ)について
原理は簡単!ただし、大変面倒です!
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- 最新作『道路から見る夕日』
平成30年(2018年)も残すところあとわずか。
今年も様々なフォト刺繍(フォトステッチ 以下フォト刺繍)を作成しました。
フォト刺繍の作品を作り、こうして情報発信するようになって足かけ5年になりますが、自分なりに試行錯誤してフォト刺繍に関して現在どのように考えているのか記しておきたいと思います。
結論から述べると、「フォト刺繍は簡単だ。ただし、面倒である」
5年間いろいろ試行錯誤し、様々な失敗作も作ってきましたが、結論から言えば『フォト刺繍は簡単だ。ただし面倒である』と、いうのが私の結論です。要するに、作成したデーターの色を糸で再現できるか否かに尽きるのです。50色で構成されたデーターならその50色を同じ色の糸で刺繍できれば良いのです。理屈は簡単です。
一番最初の色(糸リスト)の作成が最も面倒で時間がかかります。
フォト刺繍で多くの人が悩むのは「色が合わない」ということではないでしょうか。現在、私は刺しゅうPRO10を使って画像の変換を行っています。
当然デフォルトの設定でフォト刺繍は作成できるのですが、思ったように画像を変換させようと考えた場合、新しい糸リストを作成することをお薦めします。
ある意味、この糸リストを作成できれば私と同レベルのフォト刺繍は簡単に作成可能です。現在私がフォト刺繍作成時に用いている糸リストの色数は710色です。作りこむのは大変面倒で時間も必要です。
より多くの色情報をソフトに与えてやることは画像変換時の表現力を格段に変化させます。従って糸リストの作成は必須の作業だと思います。
画面上に見えている色と同じ糸を選ぶ
糸リストを作成したら、使用したい色数を決めて画像を変換します。私はだいたい50色(最大色)を選択します。変換は直ぐに終わりますね。これでフォト刺繍用のデーターは完成です。この後は糸を選んで実際に刺繍するだけなのですが、糸を選ぶ時の最近の私の方法は画面上に見えている色と糸を合わせるようにしています。
糸リストには色の名前やメーカー名、糸番号などが入力できるようになっていますが、私の作成した最新の糸リストには糸番号が登録されていません。
糸リストを作成し、画像変換をしてフォト刺繍のデーターを作成するまではロジカルに行いますが、実際に糸を選ぶ時は作者の感性に委ねることで個性が反映されると思いますし、自由度も高まります。感性に従って糸を選んでいきましょう。
※追記 この記事を投稿してから7年経ちました。
2025年──この記事を書いてから、もう7年の歳月が流れました。
あらためて読み直してみると、自分でも「フォト刺繍の本質をとらえた良い記事だったな」と感じています。
当時はまだ、フォト刺繍(あるいはフォトステッチ)という技術に対して、私自身がどう考えているのかという視点で書いたものでした。
実はこの記事を書いた2018年、私はフォト刺繍クリエーターとしての制作活動を本格的にスタートしました。
記念品としてのフォト刺繍とは異なる、より表現性の高い新たなフォト刺繍のかたちを模索し始めたのです。
その後も、技術面・表現面の両方から研究と試行錯誤を重ね、現在では芸術作品としても一定の評価をいただけるようになってきました。
作品は美術書籍への掲載やアートイベントへの出展などの機会もあり、**記念品としてのフォト刺繍刺繍とは一線を画す“表現としてのフォト刺繍”**として高く評価されています。
ご興味のある方は、私のフォト刺繍作品を紹介している公式サイトも、ぜひご覧いただければと思います。
「光を糸で表現する」というテーマで制作している最新作もご紹介しています。