2020/9/11

小さい刺繍

小さいサイズのQRコードをどう認識させるか

前回の結果を踏まえて

こんにちは、本日の精研ブログを担当いたします大森です。
よろしくお願いします。

前回、プリント加工と違い刺繍は細かい表現が難しいというのを理解してもらう方法として様々なサイズの「QRコード」を刺繍にしてみてどこまでスマホで読み込みが出来るかを試してみました。
試みの初期工程として刺繍データ作成を自動変換機能を用いてどこまで読み込んでくれるかを紹介致しました。

前回記事 →  ココ

今回は前回の結果を踏まえて前回以上に小さいサイズを読み込ますためには
どうしたらいいかを試行錯誤したいと思います。

試そうと思っている方法

・刺繍データの編集

・細い糸と針に変更

それでは試してみましょう。

データ編集

まず前回変換結果が一番優れていた「自動デジタイザウィザード」を見てみましょう。

読み込みできた39㎜サイズ、読み込みできなかった34㎜サイズです。
読み込みが出来た物は綺麗に変換出来ていますが読み込みできなかった物は形が崩れているように見えます。
これが読み込みしなかった原因ではないでしょうか。
34mmの変換が綺麗に変換出来ていないのであれば、読み込みが出来た39㎜サイズのQRコードの刺繍データを縮小してみてはどうでしょうか。

1個下のサイズの34㎜は読み込むようになりました。
しかし同じように36㎜の縮小シリーズで24㎜サイズ以下は読み込みませんでした。
一番小さい12㎜に関してはステッチデータが一部除去されているのが分かります。

縮小には2種類ある

次に試すのが刺繍機での縮小です。
実は機械刺繍で縮小には2種類あります。

・刺繍データ作成ソフトにて縮小させる
→糸密度を伴って縮小される。
 縮小されたサイズにステッチデータが再発生する。

・刺繍機で縮小させる
→糸密度は伴わずに縮小される。
 オリジナルデータから縮小されたサイズに縮小される。

要は縮小したサイズに合わせて適切なデータに作り替える刺繍作成ソフトか
縮小できるが糸の密度などは伴わない力技で編集する刺繍機という違いです。

糸の密度が伴わなければ
大きなサイズ → 小さなサイズ = 糸の密度がギュウギュウに詰まる。
小さなサイズ → 大きいサイズ = 糸の密度がスカスカで透けてしまう。
なんてことが起きます。

上記の理由から通常は刺繍機側で編集をあまりしないのですがステッチデータを再発生させない方法でどうなるか試してみましょう。

密度の解決策として針と糸を小さいサイズに変更します。
そうすることによって糸の密度が詰まってもある程度は緩和できます。
(針:K5×Z1♯11 → K5×NY♯8  糸:120デニール → 75デニール)

読み込めた34㎜のデータから26㎜と20㎜まで刺繍機で縮小編集した刺繍です。

結果は26㎜が読み込めて、20㎜は読み出来ませんでした。
やはり比べると柄が潰れているように見えます。

研鑽の量が刺繍のクオリティの良し悪し

なんとか20㎜を読み込みさせたい!

そんな思いで取り出したのは糸をさらに細くしての挑戦です。
通常この細さの刺繍糸は使用しないです。
(糸:75デニール → 50デニール)

するとなんと読み込みました。

考えれば分かることですが、同じデータでも細い糸や針を使うと精密なデザインが表現できることが証明されました。

しかし実は同じ環境で2個刺繍しており画像は2個目なのです。
1個目は何度やっても読み込みできず、2個目は読み込み出来る仕上がりになりました。
見比べても違いはほぼないのですが、ひっぱったりしていると読み込んだことから縮みで形が変形して読み込みができなかったのではないかということが後から分かりました。

プリント加工で出来るから刺繍でもといった話が多く聞く中で始めたこの挑戦ですが

ネーム刺繍をしたいというお客様でも1文字が10㎜ぐらい、できればもっと小さくできますか。
という質問を受けたことがありますが、出来なくはありませんが難しいです。
と説明をしますが小さい刺繍を精密に加工するという技術がいかに難しいかが少しでも伝わりましたでしょうか。

ただし一番に知って頂きたいことが研鑽次第で小さい刺繍でも表現が出来るということ。
他社に負けない刺繍クオリティを研鑽し、刺繍ビジネスを盛り上げましょう。
気になった方や話を聞きたい方など一度お問い合わせください。

※番外編
QRコードの12㎜に挑戦してみました。

マニュアル作成で頑張りましたが全然読み込みませんでした・・・
また機会があれば限界に挑んでみたいと思います。

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