2020/9/4

刺繍とプリント

刺繍はプリントと同じではない

刺繍は細かい表現が苦手

こんにちは、本日の精研ブログを担当いたします大森です。
よろしくお願いします。

昨今、自社製品や仕入れた製品に刺繍を施し付加価値を高める為に刺繍を導入しようとお問い合わせを多くいただきます。

実機をご覧になるために来社された方々も
現在、外注にお仕事を出しており内製化を検討しているといった方から
刺繍でビジネスを興したいといった方
刺繍の知識を理解している方から全く知らない方まで様々です。

そんな中でよく耳にするのが「刺繍ってプリントと全然違いますね」といった内容です。

刺繍とプリントは製品に加工を施し付加価値を高める手法として同じように思われがちです。
どのように思われているかと言いますと糸とインク塗料で加工する違いはあれど手間や加工時間などが同じくらいだという考えの方がまだまだ多いです。
違いがあるのは当然ですが一番はプリントと違い細かい表現が刺繍は難しいということです。

どういうことかと言いますと刺繍は糸を生地に縫い込んで表現する技法です。

考えてください。

刺繍針の太さで0.数㎜
糸の太さで0.0数㎜

これをちょっと縫い込むだけで数㎜になります。
それでは刺繍って小さいデザインの細かい表現が再現できるのか!?

一度、刺繍の詳細をご存じない方たちのために実験をしましょう。
試す方法として細かいデザインの集合である「QRコード」を刺繍してみたいと思います。
「QRコード」ですと細かい部分が表現出来ているかの判断をスマホのQRコードリーダーで読み込めるかをスマホに判断してもらいます。
細かい表現を再現する方法は様々なアプローチがあるので段階を踏んでご紹介していきたいと思います。

自動変換を使用してのアプローチ

機械刺繍加工では素材やデザインなどによっての調整も大事ですが刺繍データ作りも非常に大切です。
刺繍データ作りは拘りだしたら上限がありません。
刺繍データ作成について知りたい方は↓の過去記事に記載しております。

刺繍データ作成 1 「縫い方の指定」
刺繍データ作成 2 「縫いの方向を指定する」
刺繍データ作成 3 「縫う順番を決める」
刺繍データ作成 4 「縫い縮みを考慮する」

まずは新規の方に要望が多い自動変換系の機能を使用してどのような結果になるかを検証してみましょう。

自動変換機能として今回使用する機能は
・フォトステッチ機能 詳細は →  ココ
・クロスステッチウィザード 詳細は →  ココ
・自動デジタイジング機能 詳細は →  ココ
の3つです。

弊社のホームぺージを表示する色んなサイズのQRコードを作ってみました。

65㎜・59㎜・53㎜・46㎜・39㎜・34㎜・26㎜・20㎜・12㎜の9つを用意し変換してみます。

まずはフォトステッチ機能でどのようになるのでしょうか。
全体の画像、最大サイズ、最小サイズの各刺繍の写真を載せて紹介します。

スマホで読み込めたのは53㎜まででした。
大きいサイズはしっかり表現できていますが、一番小さいサイズのQRコードは
ぐちゃぐちゃになってしまいました。
小さいサイズだとソフトの認識能力の限界を超えてしまっている様子が伺えます。
次にクロスステッチウィザードで試してみましょう。

クロスステッチウィザードでもスマホで読み込めたのは53㎜まででした。
個人的にはカクカクしたQRコードはクロスステッチが案外けるのではと期待していたのですが・・・大きいサイズは綺麗に出てきています。
フォトステッチ変換と一緒で小さいサイズも頑張ってはいますが細かいQRコードのデザインを認識しきれていない様子が伺えます。
では最後に自動デジタイザウィザードではどうでしょう。

なんと結果は最高記録の39㎜まで認識できました。
ですが一番小さいサイズ(12㎜)は小さ過ぎたのか変換できませんでした。
なので小さいサイズの画像は20㎜のQRコードです。
こと変換能力だけで言うと自動デジタイザウィザードが優れていることが分かりました。
想像以上に綺麗に変換出来ていることに驚きました。

より小さいサイズを認識させるには・・・

多くの方に聞かれた自動変換で刺繍加工をしようと思うとこのような結果でした。
プリントであるなら小さいサイズもいけるのでしょうがやはり刺繍は一筋縄ではいきません。
自動変換機能のみで運用しようと思うとなおのことですね。

刺繍はプリントよりも高級感がありしっかりと縫い付ける技法なので洗濯などにも強い耐久性の高さがあります。
プリントはプリント方法にもよりますが、大量生産は可能なものの剥がれ落ちやすかったり耐久性では刺繍に劣るでしょう。
デザインについては、刺繍は糸などの影響で色の制限などがどうしても出てきてしまいます。
しかし、プリントはパソコンのデータをそのまま転写することも可能ですし、発色もよくグラデーションもきれいに表現することが可能です。
また、プリントは大きなロゴなども入れやすいです。

刺繍は高級感がありプリントより高い付加価値を付けれるから刺繍加工をしたい。
刺繍データを簡単に自動変換できませんか。
などよく聞きますが今回の結果で自動変換がどのくらいの精度なのかということが少しでも伝わりましたでしょうか。

このサイズ感やクオリティで自社の商品レベルをクリアできるなら非常に有用な機能です。
しかし突き詰めていくと難易度が高い加工手法。
故に刺繍は付加価値が高いのです。
刺繍に関するお悩みがある方はどんなことでもお問い合わせください。
我々、精研スタッフが一緒に解決に尽力します。

次回は今回の自動変換の結果以上に小さいサイズを読み込む為にはどうすればいいか、どのようなアプローチを行うかを試行錯誤する記事をご紹介したいと思います。

ホームへ先頭へ前へ戻る